本名と別名で暮らしていたうちの犬

小学校の時に飼っていた雑種の白い犬に「くるみ」と名前を付けました。おとなしい犬だったので、鎖に繋がれずに近所を徘徊する生活でした。

近所のおばさんたちはみんな私のイヌのことをかわいがってくれていて、幼馴染のお母さんがスーパーに行くときは必ず後をついて、ハムを買ってもらったり、チーズを買ってもらったりしておやつを与えてもらっていました。

いつも行く散歩の道が決まっているようで、決まった時間に出て行っては決まった時間に戻ってきます。

ある日、私はうちの犬がどんな散歩をしているのか気になって後をつけてみることにしました。

家の小屋からでると通りをさっさとわたり、5ブロック先の病院の裏玄関のあたりめがけて走っていきました。

するとその裏玄関のドアの前にイヌ用のお椀がひとつ。

まさか?と思ったら、中から看護婦さんが出てきて、「白ちゃん」と声をかけながらドッグフードの缶詰をお椀に入れたんです。

白ちゃん?うちの犬別名がある!

私が混乱しているうちにドックフードをペロッとたいらげ、国道を横切ります。するとそこには車の修理工場があり、慣れた足並みで消えて行ったのです。

工場の壁越しに覗くと、中で工場の整備士さんたちが「マリリン」と呼んで、お菓子をあげているじゃありませんか?

呼ばれるたびにしっぽを振って嬉しそうにお菓子をたべるうちの犬をみて吹き出しそうになりました。

お菓子に十分満足すると、そそくさと工場を後にし、どうやら帰宅するようです。

1ルート1時間もかかっていませんが、国道も車に引かれることなく上手にわたり、2つも別名をもって世の中も上手くわたってるんだなあと感心しました。

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